2025年で創業109年を迎える霧島酒造は、製造工程のオートメーション化を早くから進めてきた。しかし、その裏側では、記録や管理の多くが依然として手書きの紙ベース。これによる非効率性、人為ミス、情報共有の遅れが課題だった。特に、食品の国際規格であるFSSC22000(食品安全マネジメントシステムに関する国際規格)取得を考えると、紙での管理には限界があったという。
財津氏は当時の状況とDX推進への思いをこう語る。
「現場での手書き作業は非効率で、国際規格対応にも懸念がありました。また、既存の機械運用システムのように、特定のベンダーに依存してしまう『ブラックボックス化』を避けたいという強い思いがありました。できる限り自社で、柔軟にシステムをカスタマイズ・改善していきたい。そこで、ノーコード・ローコードで内製できるツールを探し始めたんです。」(財津氏)
こうした課題意識から、社内ではまず焼酎粕処理等を行うグリーンエネルギー本部がClaris FileMaker のようなデジタルツールを先行して模索。当時、全社的なDX推進の必要性を認識し、機運が高まっていたこともあり、現場のニーズに合致したシステムを、自分たちの手で作り上げる道を選択したのだ。
