創業1958年から4代続くしいたけ生産農家であるECOマッシュは、しいたけの菌床栽培における記録作業は長年、手書きの紙ベースで行われていた。木の種類、配合率、乾燥具合、水分、pH、冷却時間など多岐にわたる項目を毎日記録するものの、これらの情報は分析に活かされることなく、ただの記録として積み重ねられるばかりだった。専務取締役の瀬口聖也氏は当時をこう振り返る。
「紙に書いたところで、結果とリンクさせることが全くできず、今思えばただの無駄な作業でしたね。」(瀬口氏)
手書きの記録は字が汚くて読めない、記録に時差があるといった基本的な問題に加え、PDF化しても保存することなく、分析するため情報として十分に活用できない状態が続いていた。データ紛失のリスクも常につきまとい、精度の高い品質管理と生産性向上の大きな障壁となっていた。
こうした課題は、同じように日々奮闘する第一次産業の現場で、誰もが一度は感じたことのある葛藤ではないか。
